ピースウィンズ・ジャパンは、国際協力NGOとして多くの国や地域で難民や災害被災者などの支援に取り組み、国内でもさまざまな社会問題の解決に注力している。中でも人と犬の助け合いを掲げて立ち上げた「ピースワンコ・ジャパン」事業では、災害救助犬・セラピー犬の育成や、殺処分ゼロを目指した保護・譲渡活動を展開している。「2011年度に広島県が犬・猫の殺処分数で全国ワーストワンになった」のを受け、13年9月、県内の犬の殺処分を1000日以内にゼロにする計画を発表。600頭規模の犬舎の建設や、広島市、神奈川県藤沢市での譲渡センター開設などを進めた。16年4月以降、殺処分対象の犬を県の施設からすべて引き取り、「県内の殺処分ゼロ」活動を推進している。
日本では年間10万頭もの犬や猫の命が殺処分によって絶たれています。長く海外の紛争地などで人道支援に携わってきた私たちは、命の尊厳を奪われる理不尽さはペットも人間も同じだと考え、犬の保護・譲渡活動を始めました。
殺処分の背景には、ペットの流通システムや飼い主のモラルなど多くの根深い問題があります。それでも問題の解決は可能であることを、志を同じくする方々と共に一層の努力を重ね、証明したいと思います。今回の受賞を通じて動物福祉に対する社会の関心が高まり、殺処分ゼロの実現に弾みがつくことを心から願います。
聴覚障害者のためのコミュニケーション基盤を整え、彼らの暮らしを快適で豊かにする活動を推進。手話を母語とする人達がパソコンやタブレットPCなどITを活用したビデオチャット機能を用いて、遠隔で手話通訳を利用できるサービス事業を展開している。手話で暮らす人々の生活の中で必要と感じたときに、いつでも・どこでも・短時間でも気軽に手話通訳を利用できる点が大きな特徴。行政機関や商業施設、公共交通機関の各種窓口などに設置する「対面型」と、個人から企業への電話の問い合わせを手話で通訳する「コールセンター型」、障害者雇用の現場で利用される「社内コミュニケーション」といったサービスを全国的に拡大している。
世界で1億6800万人(2013年ILO調査)といわれる児童労働者のうち約6割は農業分野が占めている。ACEは、カカオとコットンの両産業に焦点を当て、現地と日本を結ぶことで解決を図るビジネスモデルを展開している。これまでガーナやインドで実施してきたコミュニティー単位の支援プロジェクトでは、1520人の子どもを危険な児童労働から守り、1万3123人の教育環境を改善してきた。日本では、森永製菓株式会社の「1チョコfor1スマイル」パートナー団体として、コミュニティーで採れたカカオを使用した大手日本メーカー初の国際フェアトレード認証付きチョコレートの販売を実現。企業、消費者を巻き込んだ解決モデルに取り組んでいる。
サハラ以南のアフリカ諸国では、いまだに感染症がまん延している。日本における手洗いのエキスパートであるサラヤは、その予防に「手洗い」の重要性を訴え、2010年からはアフリカのウガンダで手洗い運動を開始。地域の学校やマタニティーセンターで手洗いの重要性を伝えながら、手洗いの実行や病院における患者ケアに手洗いを徹底してもらうことに6年にわたって取り組んできた。14年にはアルコール手指消毒剤の現地生産もスタート。昨年の西アフリカにおけるエボラ出血熱のまん延時には、アルコール手指消毒剤が多く使用された。こうした取り組みをアフリカ各地域に浸透させることで、インフラが未整備なアフリカの保健衛生の向上を目指す取り組みを続けている。
20~59歳で未婚かつ無業、同居家族以外の交流がなく社会的に孤立している孤立無業(SNEP*)の状態にある人々が増加傾向にある。そうした課題に取り組むため、不登校や引きこもりなどの状態にある若者の自立支援を展開。生きる力を共に育む「共育」という理念が多くの賛同者を集め、オルタナティブスクールという教育カテゴリーを地域社会へ発信。自らを否定することなく、自己判断、自己決定、自己行動が可能な、基本的「生きる力」を持った若年者の支援を進めている。また、ダイドードリンコ株式会社と社会貢献プロジェクト「DYDONATION」を開始し、自動販売機設置先企業との連携を高めることで、より身近な寄付のモデル発信を行う。
*Solitary Non-Employed Persons
日本の多くの事業所では、性同一性障害や同性愛など性的少数者(LGBT)の存在が認知されておらず、十分な対応がとられていない。彼らがいきいきと働くことのできる職場づくりを通じて、誰もが暮らしやすい社会づくりを目指す活動を展開。調査研究、情報発信、コンサルティングなどを中核事業とし、大企業などで年間100以上の講演を実施している。2013年には、行政機関で初の「LGBT支援宣言」を実施した大阪市淀川区のLGBT支援事業を受託し、全国の自治体のLGBT施策モデルとなった。そのほか、LGBTとトイレ、LGBTとスポーツなど、さまざまな切り口で性的マイノリティーの視点から社会への問題提起を行っている。
国内には宗教・信条・体質などの理由により「食べてはいけないものや食べられないもの」がある人が419万人*(総人口の3.3%/前年比13%増)いる。こうした制約がある人は料理や食品に含まれる食材を把握する必要があるが、言葉や文化の壁により必要な情報を入手できず、不安や不自由な食生活を強いられている現状がある。「すべての人においしい笑顔を」を理念に、世界1500人への国際調査を経て、国際標準化機構のルールに基づいたユニバーサルデザインの食材表示ツール「フードピクト」を開発。成田空港や関西空港、全国1317店を超えるホテルや飲食店に提供し、安全安心な食事環境と多様性あふれる対話機会を広げている。
*法務省、日本政府観光局、外務省データなどにより団体が独自集計
※各企業・団体のウェブサイト(イメージ)は2016年4月現在のものです
※企業名・団体名は「応募・推薦書」の記述に基づき記載しています